写真で見る生物の系統と分類
 
 現在の生物の系統と分類は非常に複雑です。大系統に関する仮説が百花繚乱なので,生物の系統と分類を紹介するのは容易ではありません。ですが,各仮説や進化学を学ぶ前に,まずは生物の世界にはどのような生き物がいるのかを知ることが重要だと思います。特に大系統の話は、藻類・原生生物(プロチスト)という普段目にすることのない生き物を中心として進んでいく上,ドメイン,スーパーグループなど近年作られた新しいグループ名を用いる事が多く,初めての方には何の話をしているのか極めて難解だと思います。ここでは,各グループ間の系統関係についてはひとまず置いておき,ドメインとスーパーグループもしくは界,下界などの高次分類群に,それぞれどのような生き物が所属しているのかを紹介します。
 

更新履歴

2017年1月24日 柴田健介氏から海藻類,キノコ類,甲殻類,軟体動物,棘皮動物の写真 24種!を提供して頂きました。

2015年9月21日 赤尾正俊氏から昆虫類,キノコ類,カエル類,ヘビ類,軟体動物,陸上植物の写真 71種!を提供して頂きました。

2015年8月29日 湯浅智子氏から放散虫の写真 4種!を提供して頂きました。

2015年5月3日 Ruggiero et al. (2015) が発表した生物全体の分類体系を参考に,全体の分類体系を見直しました。

2013年12月25日 丸山健一郎氏からキノコ類の写真 53種!を提供して頂きました。

2013年5月24日 真核生物の分類・系統をAdl et al. (2012) に従って改訂しました。

2013年5月5日 青木政臣氏からヘビ類トカゲ類カメ類カエル類の写真 34種!を提供して頂きました。全て野外で撮られた貴重な生態写真です。

2013年4月18日 刺胞動物門の分類をDaly et al. (2007) を参考に改訂しました。

2012年8月23日 ミヤマキンバイウラジロナナカマドシナノオトギリイワツメクサイブキトラノオオンタデモミジカラマツオオイワカガミコイワカガミミヤマリンドウミソガワソウヨツバシオガマミヤマシシウドアマニュウイワギキョウイワイチョウオタカラコウミヤマアキノキリンソウカニコウモリプランテ被子植物門)を公開しました。

2012年8月8日 スイレン属の1種アスパラガスカズノコグサ属の1種ツメクサ属の1種タツタナデシコヒモゲイトウアストランティアルリタマアザミヤナギタンポポオグルマ属の1種ワタチョロギノリウツギプランテ被子植物門),コガタスズメバチオオスズメバチニホンミツバチキムネクマバチオピストコンタ昆虫綱),アザニディウムクロムアルベオラータ渦鞭毛植物門)の詳細画像を公開しました。

2012年5月16日 Eudorina elegansLacunastrum gracillimumプランテ緑藻綱)を公開しました。

2012年5月12日 ツメタガイウミウシの仲間数種オピストコンタ軟体動物門),シンビオディニウム属の1種イケツノモクロムアルベオラータ渦鞭毛植物門),サヤツナギマロモナス属の1種クロムアルベオラータストラメノパイル),Desmodesmus communisプランテ緑藻綱),ホシガタモプランテ緑色植物亜界),ビカクシダプランテシダ植物門)の写真を追加しました。

2012年5月3日 リュウノタマプランテ紅藻植物門),佐渡島産を除くホンダワラ属ストラメノパイル褐藻綱)を公開しました。

2012年4月30日 モツレミルプランテアオサ藻綱),ゴニウム・ペクトラーレプランテ緑藻綱)を公開しました。

2011年11月19日 スギノリ目数種,イソノハナ目数種,イギス科数種(プランテ紅藻植物門)を公開しました。

2011年6月29日 爬虫綱数種,節足動物門数種(オピストコンタ),アミジグサ目数種(ストラメノパイル褐藻綱),ヒメアオノリカワアオノリヘライワヅタタカツキヅタプランテアオサ藻綱)を公開しました。

2011年6月4日 異鰓上目数種(オピストコンタ軟体動物門)を公開しました。

2011年6月2日 条鰭綱数種,環形動物門数種(オピストコンタ動物界)を公開しました。

2011年5月25日 クロヒメゴケプランテ紅藻植物門),プリムラ・ミニマオキナグサPulsatilla halleri subsp. slavicaプランテ被子植物門),イソバナイソハナビシロガヤオピストコンタ刺胞動物門),オオツノヒラムシオピストコンタ扁形動物門)を公開しました。

2011年5月13日 コルトネベラ・ブラアメーボゾア),シヌラ属の1種クロムアルベオラータストラメノパイル),メソスティグマプランテ緑藻)の詳細ページを追加しました。

2011年4月25日 ニセコアミケイソウ属の1種ツツガタケイソウ属の1種クロムアルベオラータ珪藻綱),サナダグサクロムアルベオラータ褐藻綱),ホシザメノコギリザメオピストコンタ脊索動物門)の詳細ページを追加しました。

2011年4月24日 各ページのサムネイル画像を整理し,写真を追加しました。今後は詳細ページを充実させていきます。

2011年3月4日 渦鞭毛藻(アルベオラータ)の写真の向きを統一しました。

2011年3月2日 全体的に改訂し,陸上植物アオサ藻綱紅藻植物門褐藻綱に写真を追加しました。

2011年2月6日 動物界オピストコンタ)のページを改訂し,写真を追加しました。

2011年2月1日 陸上植物プランテ緑色植物亜界)のページを改訂し,裸子植物,被子植物の各上目に写真を追加しました。

2011年1月25日 種数が増えたため陸上植物プランテ緑色植物亜界)のページを新設しました。

2011年1月22日 Lepidodinium sp.(クロムアルベオラータ渦鞭毛植物門)の写真を追加しました。

2010年12月24日 アミミドロ,イチョウウキゴケ,プレオドリナ(プランテ緑色植物亜界),タマキビ,イシダタミ,イソアワモチ,ヒザラガイ,ホンヤドカリ(オピストコンタ動物界)の写真を公開しました。

2010年12月23日 マボヤ,イトマキヒトデ,キタムラサキウニ,マナマコ(オピストコンタ動物界)の写真を公開しました。

2010年11月21日 セグロカモメオピストコンタ動物界)の詳細ページ,サンゴイソギンチャク,タカアシガニ(オピストコンタ動物界)の写真を公開しました。

2010年11月16日 Pleurosiga sp.(オピストコンタ動物界),Emiliania huxleyiクロムアルベオラータハプト植物門),ピロキスチス属の一種(クロムアルベオラータ渦鞭毛植物門)チラキディウム(クロムアルベオラータ繊毛虫門)の写真を追加しました。

2010年11月13日 襟鞭毛虫門と輪形動物門(オピストコンタ動物界),食卓に上るキノコ,ベニテングダケ(オピストコンタ菌界),ホシミドロ植物門(プランテ)の写真を追加しました。

2010年11月12日 メトピオン属の一種(リザリア,ケルコゾア門)の写真を追加しました。

2010年10月31日 具体例に基づく生物の系統と分類を公開しました。

 

掲載種 3338種(2017年12月31日)
 
主なページへのリンク
  全生物
  真正細菌
  オピストコンタ 1(動物)
  オピストコンタ 2(菌類)
  アメーボゾア(アメーバ類)
  アーケプラスチダ 1(ストレプト植物:緑色植物,車軸藻類,接合藻類など)
  アーケプラスチダ 2(緑藻植物:緑藻類,アオサ藻類,トレボウクシア藻類)
  アーケプラスチダ 3(紅藻類)
  SAR 1(アルベオラータ:渦鞭毛藻類,繊毛虫類)
  SAR 2(黄色藻類:珪藻類,黄金色藻類,褐藻類など)
  SAR 3(リザリア:ケルコゾア,放散虫類,有孔虫類)
  エクスカバータ(ミドリムシ類など)
  所属不明の真核生物(ハプト藻類,クリプト藻類など)
 
生物名索引*部分的に公開中。随時,追加していきます。
 
ウーズ(Woese)の3ドメイン Domain
 ウイルス(注)を除く生物全体を最大のレベルで分けると,真核生物ドメイン,古細菌ドメイン,真正細菌ドメインの3つのドメインに分けられます。ドメイン(Domain)とは,Woese et al. (1990) が,上界(Superkingdom),界(Kingdom)よりも上の大きなグループという意味で用いた名称です。ドメインは界・門・綱・目・科・属・種といった分類階級ではなく,便宜上の名称です。

 Ruggiero et al. (2015) は生物全体に対して,伝統的な分類階級を用いた分類体系を発表しました。3ドメインは用いず,「原核生物上界 Superkingdom Prokaryote」と「真核生物上界 Superkingdom Eukaryota」の2つの上界に分け,真正細菌と古細菌は,原核生物上界の中の界として分けています。原核生物と真核生物という伝統的かつ馴染みのある分類体系なので,受け入れやすいものと考えられますが,真正細菌と古細菌を一つの上界にまとめて良いかどうかの判断基準が曖昧なままです。本サイトでは,真正細菌と古細菌との関係がはっきりするまで,上界の分類は保留しました。

注.ウイルスは,生命の基本単位である「細胞」という体制を取らない非細胞性生物です。ここでは細胞性生物のみを取り上げました。

 
ウーズ(Woese)の3ドメイン (Woese et al. (1997)と井上 (2007)を基に作図)
 
真正細菌(バクテリア)ドメイン Domain Bacteria
 古細菌を除く全ての原核生物がここに所属します。細胞が小さく,体制も単純なため実感出来ませんが,真核生物を遥かに上回る多様性を持ったグループです。
 
古細菌ドメイン Domain Archaea
 原核生物ですが,より真核生物に近縁なグループです。クレンアーケアタ界とユーリアーケアタ界の二つの大きな系統群から成ります。
 
真核生物ドメイン Domain Eucarya
 真核細胞,すなわち膜に包まれた核と細胞小器官を持つ生き物です。他の2つのドメインと比べて高度に特殊化した体制を持っています。
 
井上(2007)p. 271を基に,3つのドメインの形質を比較しました。
 
    真正細菌ドメイン 古細菌ドメイン 真核生物ドメイン
核膜   なし なし あり
染色体   環状 環状 線状,2本(1対)以上
核タンパク質   HU型タンパク質 ヒストン類似タンパク質 ヒストンタンパク質
細胞壁の主要構成成分   ムレイン シュードムレイン,S-レイヤー セルロースなど多様
細胞膜脂質   エステル脂質 エーテル脂質 エステル脂質
細胞膜ステロール   なし なし あり
細胞骨格   なし なし 微小管,アクチン
原形質流動   なし なし あり
有糸分裂   なし なし あり
リボソームの沈降速度   70S 70S 80S
DNAポリメラーゼ   DNAポリメラーゼ I-III 真核生物のα,β型DNAポリメラーゼに類似 DNAポリメラーゼ α-ε
翻訳開始 tDNA   ホルミルメチオニン-tRNA メチオニン-tRNA メチオニン-tRNA
イントロン   なし あり あり
プロモーター   ブリブナウボックス TATAボックス TATAボックス
キロマイシン添加によるペプチド伸長因子阻害   あり なし なし
ジフテリア毒添加によるペプチド伸長因子阻害   なし あり あり
クロラムフェニコール・ストレプトマイシン・カナマイシン感受性   あり なし なし
 
 この表から,真正細菌と古細菌は膜に包まれた核を持たない原核生物ですが,互いに大きく異なる事が分かります。特筆すべきは古細菌が真正細菌よりも真核生物に近いという事です。真核生物の起源については諸説あり,詳しくは井上 (2007)や仲田崇志博士の「きまぐれ生物学」を参考にして頂きたいのですが,真核生物はどうやら古細菌のクレンアーケオータ界に近縁な祖先生物が起源となったようです(エオサイト仮説)。つまりある種の古細菌がミトコンドリアの起源となった真正細菌を細胞内共生し,高度な特殊化を遂げて誕生したのが真核生物です。ただし,3つのドメインの系統関係が完全に明らかとなったわけではなく,将来別の仮説を支持する研究結果が出てきてもおかしくはありません。
 
参考文献
 
井上 勲 2007. 藻類30億年の自然史 藻類から見る生物進化・地球・環境 第2版. 東海大学出版会,秦野(神奈川),643 pp.
 
Ruggiero, M.A., Gordon, D.P., Orrell, T.M., Bailly, N., Bourgoin, T., Brusca, R.C., Cavalier-Smith, T., Guiry, M.D. and Kirk, P.M. 2015. A higher level classification of all living organisms. PLoS ONE 10: e0119248.
 
Woese, C.R., Kandler, O. & Wheelis, M.L. 1990. Towards a natural system of organisms: proposal for the domains Archaea, Bacteria, and Eucarya. Proceedings of the National Academy of Sciences 87: 4576-4579.
 

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