Micrasterias hardyi
 
作成者:鈴木雅大 作成日:2023年6月18日
 
Micrasterias hardyi G.S. West 1905: 253.
 
接合藻植物門(Phylum Zygnematophyta),接合藻綱(Class Zygnematophyceae),チリモ目(Order Desmidiales),チリモ科(Family Desmidiaceae),アワセオウギ属(Genus Micrasterias
 
Type locality: VIC, Australia
 
Micrasterias hardyi
 
Micrasterias hardyi
 
Micrasterias hardyi
採集地:兵庫県 尼崎市 武庫川河口;採集日:2023年6月17日;撮影者:鈴木雅大
 

兵庫県尼崎市武庫川河口で採集したMicrasterias hardyiです。海産プランクトンを観察する実習で採集したものですが,顕微鏡を覗いたところ,「淡水産種」である本種が他のどの種よりも目立っており,ビックリしました。武庫川から流れてきたものだと思いますが,海産のカイアシ類ヒトツユビフサワムシ(Synchaeta triophthalmaオオビンガタカラムシ(Favella ehrenbergii珪藻類などの中に緑色の藻類が混ざっている様子は秀逸でした。

Micrasterias hardyiはオーストラリアやニュージーランドに分布する種類ですが,2011年11月に琵琶湖で確認され,2016年冬には優占種となったそうです(Hodoki et al. 2020)。琵琶湖では1965年から定期的にプランクトンの調査が行われており,これまで確認されていない種類,しかもオーストラリア,ニュージーランドの固有種と考えられていた種であったことから,「外来種」と考えられています。武庫川は,琵琶湖や淀川水系とは離れているので,武庫川河口で確認したM. hardyiは,琵琶湖とは別の発生源がありそうです。かなりの数が確認されたので,上流のダムか池で大量発生していたのかもしれません。琵琶湖で見つかっていれば,他の地域に移入していても不思議ではありませんが,移入手段が気になるところです。

 
参考文献
 
Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2023. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 18 June 2023.
 
Hodoki, Y., Koitabashi, T., Goda, Y., Akatsuka, T. and Nakano, S. 2020. Long-term variation in abundance of the non-native phytoplankton Micrasterias hardyi (Zygnematophyceae, Streptophyta) in Lake Biwa, Japan. Limnology 21: 67-72.
 
West, G.S. 1905. Desmids from Victoria. Journal of Botany, British and Foreign 43: 252-254.
 
 
写真で見る生物の系統と分類真核生物ドメインスーパーグループ アーケプラスチダ緑色植物亜界接合藻植物門チリモ目
 
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