紅藻植物亜界 Subkingdom Rhodobionta

紅藻植物門 Phylum Rhodophyta
作成日:2011年2月14日(2015年4月24日更新)
 
 紅藻植物門(紅色植物門,Rhodophyta)1門を含みます。イデユコゴメ綱(Cyanidiophyceae)をイデユコゴメ門(Cyanidiophyta)とする見解もありますが,ここでは紅藻植物門に含みました。光合成色素としてクロロロフィルaとフィコビリンタンパク質を持ち,鞭毛を持っていない事で特徴づけられます。
 

紅藻植物門の目の系統関係:鈴木 2014の図を改変し,サンゴモ亜綱にハパリデウム目を加えたものです。太線は,ベイズ法における事後確率が1.00で,最尤法におけるブートストラップ値が95%以上で支持される枝を示しています。(P)は,プロカルプを持つ種を含むことを示しています。

 紅藻植物門は7つの綱に分けられます。系統樹が示す通り,真正紅藻綱が最も多様化しており,目の数や種数において他の6綱をはるかに凌ぎます。真正紅藻綱はさらに5つの亜綱に分けられます。亜綱同士ははっきりと区別出来ますが,目の階級になると系統関係が不明瞭でほとんど解けていません。系統関係が解けていないため,造果枝,助細胞,プロカルプといった真正紅藻の重要な特徴の獲得時期が分からず,進化的な意義などの議論が行き詰まっているのが現状です。伝統的な紅藻の分類体系と最近の分類体系との関係については,鈴木 (2014)(PDFファイル)にて解説しています。

 
イデユコゴメ亜門 Subphylum Cyanidiophytina
 
イデユコゴメ綱 Class Cyanidiophyceae
 モデル生物であるシゾン(Cyanidioschyzon merolae)を含むグループです。Saunders & Hommersand (2004) は,イデユコゴメ綱をイデユコゴメ門(Cyanidiophyta)として門の階級としました。イデユコゴメ綱の仲間は,高温,高酸性などの極限環境に生息するため,遺伝子の変異・塩基置換速度が速く,系統解析において長枝誘因(Long branch artifact)を引き起こす事が知られており,このため系統解析をすると他の紅藻とは大きく離れているような結果が出る事がありました。近年の解析では,紅藻植物門としてまとまる解析結果が示されています(Rodriguez-Ezpeleta et al. 2005など)。また,イデユコゴメ綱と他の紅藻とは光合成色素,フィコビリソームをはじめとした共有形質が多く,Yoon et al. (2006)はイデユコゴメ亜門として,亜門の階級としています。本ウェブサイトもYoon et al. (2006)の見解に従いました。
 
       
イデユコゴメ綱 イデユコゴメ目        
イデユコゴメ (Cyanidium caldarium)        
撮影:大田修平;大分県別府        
 
紅藻植物亜門 Subphylum Rhodophytina
 Saunders & Hommersand (2004) は,ロデラ綱(チノリモ綱とベニミドロ綱を含む)をロデラ亜門(Rhodellophytina),オオイシソウ綱をメタ紅藻亜門(Metarhodophytina),ウシケノリ綱と真正紅藻綱を真正紅藻亜門(Eurhodophytina)のメンバーとしましたが,ウシケノリ綱と真正紅藻綱が姉妹群の関係となる事を除けば,これらの綱の系統関係は解けておらず,亜門として分けるのは不適当だと思います。本ウェブサイトでは,Yoon et al. (2006)に従い,ロデラ亜門,メタ紅藻亜門,真正紅藻亜門を認めず,紅藻植物亜門にまとめました。
 
ロデラ綱 Class Rhodellophyceae
 単細胞生物です。ロデラ目(Rhodellales)とディクソニエラ目(Dixoniellales)の2目を含みます。
 
       
ロデラ目        
         
撮影:        
 
チノリモ綱 Class Porphyridiophyceae
 単細胞生物です。チノリモ目(Porphyridales)を含みます。
 
       
チノリモ目        
         
撮影:        
 
ベニミドロ綱 Class Stylonematophyceae
 単細胞のRhodosorus属や群体を作るベニミドロ属(Stylonema),多細胞のニセウシケノリ属(Bangiopsis)など様々な体制を持つ仲間から成ります。
 
       
ベニミドロ目 ベニミドロ科        
ベニミドロ        
作画:鈴木雅大;新潟県 佐渡島        
 
オオイシソウ綱 Class Compsopogonophyceae
 オオイシソウ目(Compsopogonales),エリスロペルティス目(Erythropeltidales),ロドケーテ目(Rhodochaetales)の3目を含む綱です。
 
ウシケノリ綱 Class Bangiophyceae
*ウシケノリ目1目を含みます。
 
真正紅藻綱 Class Florideophyceae
*紅藻植物門の9割を占める大きなグループです。ベニマダラ亜綱,サンゴモ亜綱,イタニグサ亜綱,ウミゾウメン亜綱,マサゴシバリ亜綱の5亜綱を含みます。
 
参考文献
 
Rodríguez-Ezpeleta, N., Brinkmann, H., Bure, S.C., Roure, B., Burger, G., Löffelhardt, W., Bohnert, H.J., Philippe, H., Lang, B.F. 2005. Monophyly of Primary Photosynthetic Eukaryotes: Green Plants, Red Algae, and Glaucophytes. Current Biology 15: 1325-1330.
 
Saunders, G.W. and Hommersand, M.H. 2004. Assessing red algal supraordinal diversity and taxonomy in the context of contemporary systematic data. American Journal of Botany 91: 1494-1507.
 
鈴木雅大 2014. 激変する真正紅藻綱の分類. 藻類 62: 166-171.
 
Yoon, H.S., Müller, K.M., Sheath, R.G., Ott, F.D. and Bhattacharya, D. 2006. Defining the major lineages of red algae (Rhodophyta). Journal of Phycology 42: 482-492.
 

写真で見る生物の系統と分類真核生物ドメインスーパーグループ アーケプラスチダ

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