Eudorina spp.
 
作成者:鈴木雅大 作成日:2012年5月17日
 
Eudorina spp.
 
緑藻植物門(Phylum Chlorophyta),緑藻綱(Class Chlorophyceae),オオヒゲマワリ(ボルボックス)目(Order Volvocales),オオヒゲマワリ(ボルボックス)科(Family Volvocaceae),タマヒゲマワリ(ユードリナ)属(Genus Eudorina
 
Eudorina sp.
 
Eudorina sp.
 
Eudorina sp.
 
Eudorina sp.
 
Eudorina sp.
 
採集地:東京都 千代田区 大手町;採集日:2012年5月11日;撮影者:鈴木雅大
 
都心のビルの人工池から採集したもので,ある程度培養した後,写真撮影しています。形態的にはEudorina elegans と同定されると考えられますが,E. elegansは複数の隠蔽種を含むことや,ヤマギシエラ属(Yamagishiella)との区別が容易では無いことから,本サイトではユードリナ属の1種(Eudorina sp.)としました。正確に同定するためにはDNAの塩基配列を用いた分子系統解析か,電子顕微鏡を用いた観察が必要です。
 
Eudorina sp.
 
Eudorina sp.
 
採集地:兵庫県 淡路市 中持 一谷池(淡路島);採集日:2015年5月26日;撮影者:鈴木雅大
 
  Eudorina sp.   Eudorina sp.  
採集地:兵庫県 淡路市 昭和池(淡路島);採集日:2015年5月22日;撮影者:鈴木雅大
 
タマヒゲマワリ(ユードリナ)属(Eudorina)とヤマギシエラ属(Yamagishiella)は形態的に良く似ていて区別するのは極めて難しいと思います。プランクトン採集で比較的良く見つかる仲間なのですが,どちらの属に当てたら良いか悩みます。細胞が密に詰まっているのがヤマギシエラ属と考えられていたこともありますが,タマヒゲマワリ(ユードリナ)属の様々な種を見る限り,当てにならないようです。Yamada et al. (2008) によると,2属を生物顕微鏡のみで区別する方法は2つあり,一つは収縮胞の数です。タマヒゲマワリ(ユードリナ)属は1細胞当たりの収縮胞が2個以上,ヤマギシエラ属では2個です。2つ目は各細胞を包む細胞鞘の有無で,ヤマギシエラ属では細胞鞘が顕著にみられます。電子顕微鏡観察やDNAを用いた分子系統解析を行わない場合,Yamada et al. (2008) が示した観察方法が,2属を区別する唯一の方法ではないかと思います。収縮胞の確認には少なくとも微分干渉などの機能のついた顕微鏡が必要ですが,細胞鞘の有無はメチレンブルーで染色した際に区別が付くようです。著者は未だメチレンブルーによる確認を行っていませんが,機会を見て試してみたいと考えています。
 
 
参考文献
 
中山 剛・山口晴代 2018. プランクトンハンドブック.144 pp. 文一総合出版,東京.
 
 
写真で見る生物の系統と分類真核生物ドメインスーパーグループ アーケプラスチダ緑色植物亜界緑藻植物門緑藻綱
 
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