S A R (= ハロサ亜界 Subkingdom Harosa)
作成日:2010年10月20日(2015年5月5日更新)
 
 これまで別々のスーパーグループとして扱われていたストラメノパイル,アルベオラータ,リザリアを一つのグループとしてまとめたものです。ストラメノパイル(Stramenopiles),アルベオラータ(Alveolata),リザリア(Rhizaria)の頭文字をとって「SAR」と呼んでいます。ストラメノパイルとアルベオラータを合わせてクロムアルベオラータ(Chromalveolata)と呼ばれたこともあります。真核生物の中で最も大きなグループで,多様な分類群を含んでいます。光合成を行うものも従属栄養性のものもあります。グループに共通する形態形質は知られていませんが,このグループに属する光合成生物は紅藻類あるいは緑藻類などを二次細胞内共生,三次細胞内共生したものです(色素体/葉緑体の成立と多様性)。

 Cavalier-Smith (2010) とRuggiero et al. (2015) は,SARをハロサ亜界(Subkingdom Harosa)とし,クロミスタ界(Chromista)の下に置きました。しかし,彼らが提唱したクロミスタ界には,系統的に明らかに異なると考えられるクリプト藻類や,SARに近いと考えられますが系統関係が不明確なハプト藻類などが含まれており,そのまま用いてよいか疑問があります。本サイトでは,Adl et al. (2012) に従い,SARを単独のスーパーグループとして扱い,下界以下の分類体系はRuggiero et al. (2015) に従いました。

 
 
ハルバリア下界 Infrakingdom Halvaria (= Chromalveolata)
 
アルベオラータ上門 Superphylum Alveolata
 渦鞭毛藻類,繊毛虫,アピコンプレクサ,クロメラなどが含まれます。細胞膜の直下にアルベオール小胞と呼ばれる構造を持つことで共通しており,グループとして良くまとまっています。このグループの祖先生物は紅色植物を二次共生した色素体を持っていたと考えられ,現生種の多くが色素体又は退化した色素体を持ち,色素体を持っていないものは,かつて持っていた色素体を二次的に失ったと考えられています。
 
ヘテロコンタ上門 Superphylum Heterokonta (= ストラメノパイル Stramenopiles)
 このグループには黄藻植物門(Ocrophyta),ラビリンチュラ菌門(Labyrinthulomycota),ビコソエカ門(Bicosoecacea),オパリナ門(Opalozoa),偽菌門(Pseudofungi)の5つの門が所属しています。五界説において植物界,菌界,原生生物界に所属していた生物群が含まれているため,それぞれの界における名称が残っており,注意が必要です。
 
リザリア下界 Infrakingdom Rhizaria
 ケルコゾア,有孔虫,放散虫からなる群です。すべて原生生物からなります。今のところリザリアをまとめる形態形質は知られていませんが,多くのグループで糸状仮足と呼ばれる細いアメーバ状仮足(擬足)を形成します。分子系統的にはよくまとまった群です。
 
参考文献
 
Adl, S.M., Simpson, A.G., Lane, C.E., Lukeš, J., Bass, D., Bowser, S.S., Brown, M.W., Burki, F., Dunthorn, M., Hampl, V., Heiss, A., Hoppenrath, M., Lara, E., Le Gall, L., Lynn, D.H., McManus, H., Mitchell, E.A., Mozley-Stanridge, S.E., Parfrey, L.W., Pawlowski, J., Rueckert, S., Shadwick, L., Schoch, C.L., Smirnov, A., Spiegel, F.W. 2012. The revised classification of eukaryotes. Journal of Eukaryotic Microbiology 59:429-493.
 
Burki, F., Inagaki, Y., Bråte, J., Archibald, J., Keeling, P.J., Cavalier-Smith, T., Sakaguchi, M., Hashimoto, T., Horak, A., Kumar, S., et al. 2009. Large-scale phylogenomic analyses reveal that two enigmatic protist lineages, telonemia and centroheliozoa, are related to photosynthetic chromalveolates. Genome Biology and Evolution 27: 231-238.
 
Cavalier-Smith, T. 2010. Kingdoms Protozoa and Chromista and the eozoan root of the eukaryotic tree. Biology Letters 6: 342-345.
 
Cavalier-Smith, T. and Chao, E.E. 1996. 18S rRNA sequence of Heterosigma carterae (Raphidophyceae), and the phylogeny of heterokont algae (Ochrophyta). Phycologia 35: 500-510.
 
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Okamoto, N., Chantangsi, C., Horák, Leander, B.S., and Keeling, P.J. 2009. Molecular phylogeny and description of the novel katablepharid Roombia truncata gen. et sp. nov., and establishment of the Hacrobia taxon nov. PLoS One 4: e7080.
 
Ruggiero, M.A., Gordon, D.P., Orrell, T.M., Bailly, N., Bourgoin, T., Brusca, R.C., Cavalier-Smith, T., Guiry, M.D. and Kirk, P.M. 2015. A higher level classification of all living organisms. PLoS ONE 10: e0119248.
 
山岸高旺 編 1974. 植物系統分類の基礎. 北隆館,東京,389 pp.
 

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